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概要
スピードスターの誕生は1952年に遡る。
356を基本に装備は極限状態まで簡素化され狭苦しいコックピットのインストルメント・パネルには左からスピードメーター、回転計、油温/燃料量の集合と言う3連の大型メーターと必要最低限のスイッチ類のみでサイドウィンドウにいたっては省略されいた。
今の感覚からすると装備的には素寒貧なクルマである。

 

しかし僅か605kgのボディに1500Sの70馬力のエンジンを搭載し当時のアメリカのクラブ・レースで常勝を続けたと言う事実がこの車の存在意義を明確に表している。
この車が発想されたのは実はシュトゥットガルトの設計室ではなくアメリカのインポーターの事務所の机の上だったと言うから驚きだ。



 



当時のレース事情として参加車両は英国製のMG、トライアンフ、サンビームが主流で、それに対し手軽に参加出来るポルシェが存在しなかった。
そこで輸入業者であるマキシー・ホフマンがポルシェに対して質素な装備で廉価なスポーツカーを要求し、それにポルシェが答えたのが「アメリカ・ロードスター」だったのだ。




 

 


1954年ロードスターは「スピードスター」として進化?する事になる。
狭苦しいコックピットのインストルメント・パネルについては変化なし。
しかし差し込み式のサイドウィンドウが追加され更にはルーフトップが設定されたのだ。
「された」のだが、この両者、走行時には殆んど用をなさないしろものだった様だ。
それは、あまりにも低いウィンドシールから延長されるルーフのラインが余程座高の低いドライバーでなければとんでもない姿勢(首を体にめり込ませるような)での運転を強いられる。
幸いにもルーフに頭が接触しなかったとしても、とんでもない圧迫感がつきまとったらしい。
と言う訳でルーフについては駐車している時か余程の大雨以外では使われる事は無かった様だ。
まさに「スパルタン」だ。


 

 


資料によると1956年におけるポルシェ車全体の販売台数が4264台でこの内の1700台が「スピードスター」だったとある。
「居住性とか快適性など無縁だぞ!」と言わんばかりな当時の人たちの「熱い心」を感じてしまうのは私だけか。
こんなところでご先祖の話は終いにしよう。



 


復活

1958年まで生産された「スピードスター」は姿を消した。
外観はオープントップではあるが居住性が飛躍的に向上し装備も充実したコンバーチブルにとって代わられた。
そしてアメリカ市場における過剰な転倒事故対応を意識した形で完全なオープントップモデルは姿を消しデザイン的には優れているとは思うのだが純粋なコンバーチブルファンにとっては邪道にも見える「タルガ」へと変化して行く。


 
 

 


1983年にポルシェはロールバーを持たないカブリオレを復活させた。
そして1989年ついにリアシートを持たずカブリオレよりも10センチ低いウインドシールと、あのストイックな形状のソフトトップで往年を髣髴とさせる「スピードスター」が復活する事となる。



 
 

 


動力性能はカブリオレと変わらずなのだが当所予定の2003台は予約完売となり171台が追加生産され930ボディも在庫一掃が出来て「めでたしめでたし」
この1989年製「スピードスター」はカブリオレよりも高い11万1575マルクと言う資料がある。
また1986年のCGの資料ではカレラ・カブリオレの日本での価格は1198万円となっている。
ドイツ国内での当時のレートが1マルクが約75円として日本円で850万円としても廉価なスポーツカーとは言い難い、この車で本気でレースに出場する人がいるのやらは疑問である。
まぁ、お金持ちが雰囲気を味わう的な車なのかなぁ〜時代の隔たりはどうしようもないのだろう。





 


と散々、失礼な記述をしたのだが「本質を知らない」人間ほどいい加減な事を言うもので正に自分は実物のポルシェを知らないいい加減な人間なので「ご容赦ねがいまする。」



 


 


スペック

 Engine Air-cooled Flat-6 
 Valvetrain SOHC 
 Displacement 3164 cc 
 Bore 87.0 mm
 Stroke 75.0 mm
 Compression 10.3:1
 Power 172.3 kw / 231.1 bhp @ 5900 rpm
 Specific output 73.04 bhp per litre
 Bhp/weight bhp per tonne
 Torque 264.4 nm / 195.0 ft lbs @ 4800 rpm
 Redline 6300
 Body / frame Unit Steel
 Driven wheels Rear Engine / RWD
 Front tires 205/55ZR-16
 Rear tires 245/45ZR-16
 Front brakes Vented Discs w/ Vacuum Assist 
 F brake size x 305 mm / x 12.0 in
 R brake size x 310 mm / x 12.2 in
 Front wheels F 40.6 x 17.8 cm / 16.0 x 7.0 in
 Rear wheels R 40.6 x 22.9 cm / 16.0 x 9.0 in
 Steering Rack & Pinion
 Curb weight 1220 kg / 2690 lbs
 Wheelbase 2273 mm / 89.5 in
 Front track 1433 mm / 56.4 in
 Rear track 1491 mm / 58.7 in
 Length 4291 mm / 168.9 in
 Width 1775 mm / 69.9 in
 Height 1280 mm / 50.4 in
 Transmission 5-Speed Manual
 Gear ratios 3.50:1, 2.06:1, 1.41:1, 1.13:1, 0.89:1, :1 
 Fnal drive 3.44:1
 Top speed ~245 kph / 152.2 mph



モデルについて

オークションで14年前に入手した物なのだが劣悪な保存状態のものを掴まされてしまった。
製造時の塗装ムラ、手垢、サビ、キズ〜最悪である。





 

気を取り直して取敢えず完全分解して保存(ほったらかし)
数年前に別のPorscheにタイヤ・ホイールを移植したので足元が無い状態になってしまい更に放置状態が続いた。
たまたまオークションで目的も無く入手した"Colorado Custom"20 inch"Slammer"が何となく似合いそうなのでRebuildを開始する事にした。





 


元来ボディーカラーはレッドだったのだがストイックさが際立つのではと思って白へと変更する事にした。
ピュアでストイックな金満ポルシェ!
インテリアも汚れが酷かったので全て再塗装した。




 
 
 

"Colorado Custom"20 inch"Slammer"の選択は邪道にも思えるがどうしてもマイナス・オフセットのホイールを付けたかった。
悪趣味かも知れないが自分的には妙に気に入っている。
「レーサーもどき金満ポルシェ」てな
ホイールアーチのサイズとタイヤホイールのサイズのミスマッチの為かなりネガティブキャンバーを付けないと収まらない状態になってしまった。





 
 

 

そして「スピードスター」の特徴であるストイックなソフトトップの作成に挑戦してみた。
いかにも悪そうな視界やウィンドシールから膨らまずにつながるルーフトップのラインなど全体的な雰囲気は出ている様に自分では思えるがね。
構造はいたってシンプル?で上からポンと載せるだけなので置き方によってずれちゃったりする。




 

ギミックは無きに等しい、一応左右ドアの開閉はあり、ボンネットは何にも無いので固定した。
リアは開閉するが大したものは入っていない、フロントタイヤは少しは曲がるのだがステアリングとの取り合いはおぼつかない。





このモデルの詳しい再生作業及び「リスク」については

Go to Rebuild
Porsche 911 Speedstear 1989 Wheels by"Colorado Custom"20 inch"Slammer"1/18 Maisto


     1/18 Porsche 356A Speedster 1600S へのリンク

 1/43 Porsche 356A #56007 1956 Le Mans No.34へのリンク
1/43 Porsche 356 Speedster 1957 LM No.36へのリンク 

  1/43 Porsche 356C Coupe "Pink Pig"へのリンク




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