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概要

80年代後半、主要市場である北米での売り上げ不振からPorsche AGはワークスとしてのモータースポーツ活動を正式に休止した。
ただ、962Cによるプライベート・チームのサポートや911によるスーパーカップ、あるいは欧州各地で行われるGTカー等のレースのサポートにより最低限のレースのノウハウの蓄積だけは怠らなかったようだ。
そして1995年8月、10か月後のルマン24時間レースに向けたマシン開発を発表した。
理由としては、1996年9月発表予定の986ボクスターの最終確認テストと宣伝効果、そして次世代の911シリーズの主力として開発中であった996の為の先行耐久確認テスト等々、前年より変更されたGTクラス・レギュレーションを有利と判断した事もあげられる。
そこには、血の滲むような経営改善努力があったようだ。



僅か10ヶ月での開発
多分、エンジン開発については大きな問題はなかっただろうと思われる。
それは先にも述べたようにプライベート・チームへ供給していたエンジンのサポートをしっかり行っていた為だ。
エンジンは生産エンジンをベースにしなければならない為、信頼性に富んだ空冷6ボクサー3162ccをベースとしてDOHC化し、
今までのようにシリンダー・ヘッドだけ水冷の空水冷でなく完全水冷化したものだ。
これによって24時間という長時間高速耐久レースでのシリンダー・ヘッドの熱歪を抑え、バルブ・クリアランス精度を保つことができ出力と燃費の向上に効果をあ
げている。



エンジンレイアウトは914以来、久々のミッドシップ・レイアウトを採用、914を純粋なポルシェと見なさなければ初のミッドシップレイアウトと言う事になる。
一番の問題としては、「一般生産車と同じバリア・テストを含む安全強度基準をクリアする必要がある。」と言うル・マン主催団体ACOのレギュレーションだったようだ。
解決策として、バリア・テストが必要な世界中の安全強度基準に合格している993のフロント・セクションを流用し、フロアパン及びセンター・キャビンとテール・セク
ションに996、986を流用した。
25台のロードバージョン(公道仕様)の車体番号上は「993」になっている。
問題点としては、市販車のキャビンセクションとフロントセクションを流用したため、フロントサスペンションに充分なアーム長の確保ができず、またガソリンタンクも重心位置から離れたフロントにしか配置できなかったため、燃料消費による重心移動が激しかった様だ。



スペック

レイアウト:ミッドシップレイアウト後輪駆動
エンジン形式:水冷水平対向6気筒・各気筒4バルブ
総排気量:3200cc
ボア×ストローク:95mm×74.4mm
過給方式:ツインエギゾーストターボチャージャー(KKK製)
最大出力:600ps/7200rpm
最大トルク:650Nm/5500rpm
その他:ツインインタークーラー、ツインフロントオイルクーラー、ドライサンプ式潤滑方式
ラムダコントロール付マルチポイント・シーケンシャルフューエルインジェクション、シリンダー選択式ノッキング制御機構と盛り沢山である。


 



 

トランスミッション:6速マニュアル、リミテッドスリップデファレンシャル、オイルポンプ付ギアボックスオイルクーラー
シャシー:ダブルウィッシュボーンサスペンション、調整機能付ショックアブソーバー/ショックタワーブレース
タイヤ:前11.5J×18 後13J×18、センターロック式BBSレーシングホイール

車両重量:約1000kg



■成績

1996年
ル・マン24時間耐久レース
 総合2位 No.25 Hans-Joachim Stuck/Thierry Boutsen/Bob Wollek
 総合3位 No.26 Karl Wendlinger/Yannick Dalmas/Scott Goodyear

 ブランズハッチ4時間耐久レース以降BPR GT選手権3戦3勝

1998年
 ル・マン24時間耐久レース
 総合1位 No.26 Dr:Laurent Aïello/Allan McNish/Stéphane Ortelli
 総合2位 No.25  Dr:Jörg Müller/Uwe Alzen/Bob Wollek

モデルについて

最近は新作とか見かけないAnson製、全体的なフォルムについてはご覧の通り、ギミックは転舵のみと、あっさりしている。
特徴的なカラーリングも、デカールでは無く、この製造年代としては目新しかったタンポ印刷を使用している。
ただ、ちょっと色合いがくすんでいる様に思えるが
911 GT1はUTモデルから沢山のタイプがリリースされていたが、すでに店頭には無いだろう。





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